top of page
  • Jun 2
  • 7 min read

【6月1日付けで、北海道中央バスの親会社である中央バス総業の主要株主にお手紙をだしましたので、全文掲載いたします。】



拝啓


はじめまして、突然のお手紙をお送りいたしますことを、何卒ご容赦いただきますようお願い申し上げます。


私は成宮一雄と申します。このたび、来る6月に開催されます北海道中央バスの株主総会において、株主提案を行っております。提案内容は、株主還元や役員選任に関するものではなく、あくまで定款に一条を追記するというものでございます。


本書簡は、北海道中央バスの支配株主であります中央バス総業の主要株主様各位にお送りしております。


と申しますのも、中央バス総業は北海道中央バスの発行済株式の40.05%を保有し、逆に、北海道中央バスは中央バス総業の発行済株式の24.37%を保有していることから、両者は切っても切れない関係にあります。そのような中、今回の北海道中央バスの定時株主総会を、北海道中央バスの将来を真剣に考え直す絶好の機会であり、そのような機会に中央バス総業の主要株主の皆さまのご意見も重要であると考えているからです。


コンプライアンス問題


まず、今回の株主提案で指摘させていただきましたとおり、現在の株主構造は、会社法第308条第1項(特に括弧書部分)および会社法施行規則67条の規定の潜脱とも受け止められる、由々しき事態にあると認識しております。


私の今般の株主提案につきまして、まだお目通しいただいていない方もいらっしゃるかと存じますので、その要点について少し解説させていただきます。会社法第308条第1項(特に括弧書部分)及び会社法施行規則67条の規定により、株式会社(本件でいう北海道中央バス)が株主(本件でいう中央バス総業)の議決権の総数の「25%」以上有する場合、その株主は株式会社に対して保有する議決権(本件でいうと、中央バス総業が保有する北海道中央バス株式に対する約40%の議決権)を行使することができません(いわゆる「相互保有株式の議決権行使の制限」)。


この相互保有株式の議決権行使の制限の趣旨は、株式会社の経営陣(本件でいう北海道中央バスの経営陣)が、株主(中央バス総業)への議決権を大量に支配することを利用して、当該株主の議決権を利用して経営陣が株式会社の利益や株主全体の利益を害する事態を防ぐことにあります。


これは、いわゆる自己株式について、それを保有する株式会社の経営陣が議決権行使をしようとしても認められないことと同様の趣旨です。


この点、仮に北海道中央バスが中央バス総業の議決権の総数の「25%」以上を保有していれば、上記の会社法の規定に基づき、中央バス総業の保有する北海道中央バス株式約40%の議決権行使は認められません。これに対して、北海道中央バスが保有する中央バス総業の議決権は24.37%と、25%の寸前の議決権に抑えられており、これは上記の会社法規定を形式上遵守するための方策と考えられます。


しかし、私が独自に調査した事実関係を見る限り、北海道中央バスが、以下のような北海道中央バスの経営陣の自らの地位を保身するための慣行をグループとして組織的に行っていることが窺えます。

①    中央バス総業が北海道中央バスに対して有する議決権が失わないよう、北海道中央バスが中央バス総業に対して有する議決権を形式的に25%直前にとどめる。

②    一方、北海道中央バス(およびその経営陣)の中央バス総業に対する影響力を最大化するよう、その緊密者及び同意者に中央バス総業の株式を持たせることにより(あたかも「名義貸し」のような保有により)、中央バス総業の支配的な株式を実質的に保有する。

③    ②の一環として、北海道中央バスと中央バス総業の役員構成を連動させ、さらに、北海道中央バスの役員の選任・辞任と、中央バス総業の株式の保有も連動させている。

④    上記により、中央バス総業が北海道中央バスの総議決権の約40%を維持しつつ、北海道中央バス(およびその経営陣)が、中央バス総業による北海道中央バスに対する議決権行使を支配する。


これは、会社法の根本原則である「株主が会社を支配する」という権限分配秩序を崩壊せしめる状況であり、まさに会社法第308条第1項(特に括弧書部分)が禁じる相互保有株式による循環的・閉鎖的支配構造です。


この状態が長年にわたり継続した結果、北海道中央バスは閉鎖的な経営体質に陥っているように見受けられます。


お手紙をお送りしております株主の皆様の中には、上場企業の系列会社様もいらっしゃることと存じます。このような法の趣旨に照らして問題のある構造を看過・助長する立場に置かれている可能性について、今一度ご認識いただき、責任あるご対応を賜りますよう、謹んでお願い申し上げます。

 

閉鎖的経営体質

 

北海道中央バスは、株式を上場し、北海道のバス事業を長く支えてこられた「公器」であります。世界的リゾートであるニセコにスキー場と広大な土地を保有し、地域社会に深く根ざした大切な存在です。この公器には、守るだけでなく、その豊かな資産のポテンシャルを最大限に発揮させる「攻めの責務」があると、私は信じております。

 

しかしながら、私の周囲では「アンヌプリへの開発や協業を提案したいが、北海道中央バスの経営陣の閉鎖的な姿勢により、門前払いされ提案すらできなくなった」という声を、残念ながら繰り返し耳にしてまいりました。また、5月14日の決算発表におきましても、私の株主提案に対する立場表明はもちろん、提案を受領した事実の開示すらありませんでした。

 

こうした深刻な閉鎖性の背景には、中央バス総業が北海道中央バスの40.05%を所有して支配し、他方で北海道中央バスの同意者・緊密者が中央バス総業の株式43.80%を所有して支配するという、循環支配構造があると考えております。

 

誤解を招く関係者間取引

 

さらに、北海道中央バスを支配する中央バス総業の大株主の顔ぶれと、中央バス総業の主な支払先の顔ぶれがほぼ一致している点、また、中央バス総業が営業利益で赤字または僅かな黒字であっても、北海道中央バスからの配当により多額の経常利益を計上し続け、中央バス総業の株主の1株当たり純利益を押し上げている事実も、公的情報から確認できます。「李下に冠を正さず」と申しますように、上場会社としてこのような状況は、決して望ましいものとは言えないのではないでしょうか。


関係者間取引につきましても、公正な条件のもとで行われるものであれば問題はないものと考えております。しかしながら、中央バス総業と北海道中央バスとの間の循環型支配構造が、その公正さに対する一般株主の信頼を損ねかねないのではないかと、深く危惧しております。

 

現在の中央バス総業による支配構造は、歴史を遡れば1950年代の東急による敵対的買収に対する防衛策として生まれたものであることは理解しております。しかし、それは遥か昔のことであり、令和の今、我が国が資産運用立国を目指し、国民の株式投資を促し、東証が市場改革を断行する時代にあっては、あまりに中途半端で、創業の精神にもとる姿ではないかと危惧しております。


今こそたちかえりたい創業精神

 

せっかくの機会ですので、以下に北海道中央バス社史(「北海道中央バス四十年史」)からの抜粋を引用させていただきます。

  「二セコアンスプリー国際スキー場、天狗山、茨戸園の三大観光施設については一応整備が終わっているが、これで万全というわけではなく、今後も地の利を生かし、行楽客のニーズに合わせて時代に即応した開発を進めていく方針である。
 前述のようにわが社は借り入れ金ゼロの健全経営を誇っている。だが借金をしないばかりが能ではなく、借り入れをしてでも事業を拡大強化していく積極的な姿勢が時には必要となろう。中島秀雄社長は「厳しい経営環境の中では企業にとって『守り』の姿勢は時に後退に通ずる。いま中央バス企業グループに求められているのは積極的な『攻め』の姿勢だ」とグループ各社の奮起を求めている。
 星霜四十年、創立当初からの在籍者はもう中島社長ただ一人になってしまった。しかしわが社の繁栄の基礎を築き上げた諸先輩の努力と功績は四十年の歴史の中に深く刻み込まれており、中央バスグループ社員はこれらの諸先輩が培ってきた融和協調の良き社風と伝統を守り、さらに大きな飛躍をめざしてたゆまぬ前進を続ける責務を負っているのである。」

 

現在の北海道中央バスは、先人の血のにじむような努力と卓越した先見性によって築き上げられてきており、これまで中央バスを支えてこられてきたすべての創業家・経営者・従業員の皆様に最大限の敬意を表します。そして、あらためてこの創業期の精神に立ち返り、中央バスとそこで働く従業員の皆様、地域社会、そして我が国の発展のために、資本構造のあり方を見つめ直す機会としていただければ、これに勝る喜びはございません。


長文にわたり、ご高覧いただき、誠にありがとうございました。 


敬具

 

令和8年6月吉日

 

成宮一雄

 
 
 

Comments


Commenting on this post isn't available anymore. Contact the site owner for more info.

このウェブサイトは、成宮一雄(以下、「提案株主」)独自の分析及び公開情報に基づき作成されています。このウェブサイトに掲載された情報及び資料は、提案株主が信頼できると判断した情報に基づき作成されておりますが、提案株主は、明示又は黙示を問わず、その正確性、有効性又は完全性を保証するものではなく、この情報を用いて行う判断の一切について責任を負うものではありません。

bottom of page